切ない瞳の色・・・

瞳の表面が潤んでいて

かすれた声が、問う。


「オトコの部屋に、
一人でくるって意味
わかるよな・・・?」

最早、一言も返せない私に
彼の溢れた想いが
注ぎ続けられる。

「それとも、もう、
心決めたの?」

何度か彼が見せた表情
狂おしい程の何かを
抑えている。

「俺が、昨日、どんな想いで、
会いに行ったかなんて、
ディオナには、わかんない
だろう?」

すがるような眼差しで、
やっぱり、いつ重なっても
おかしくないような距離でも
彼は、今までの様に、
キスをしてくる事はない。

「毎日、すごく逢いたかった。
・・・お前は、そんな事
思いもしなかったんだろうな。」


思い出さないハズがなかった。

でも・・・

「まだ、決められない。」

正直な気持ちが、
ようやく、口をついた。


「あなたのペースについていく
それだけで、精一杯だったのよ?
私は…

ジェスは、次々と自分の
目標に向かって進んでいく。
でも、私は、ようやく一歩
踏み出したところ。

あなたは、光の中にいる人で
わたしは、そうじゃない。

…一緒にいることは…


恋人として…いることは
難しいと思うの…。」