「何はともあれ、
貴方が私たちの関係を
緩和させてくれた。」

ジェイドは無言のまま、
伸びをして芝生の上に
寝転がった。

そして徐に革ジャンを脱いで
私の頭から被せる。

「ストレッチするから、
持ってて。」

・・・少し寒いと思ったことに
気づいたんだろうか・・・?

時間をかけて
体をほぐす彼を横に
持ってきたスケッチブックの
ページをめくる。

「俺にも見せてよ。」

「あとでね。」

「・・・今がいいし。」

「ストレッチしてるんでしょ?
集中しなさい。」


コイツは、どうして、
こうも人の見てるものに
気が散るのだろう・・・。

「できない。」

そういって、私の横に座った彼は
スケッチブックを覗き込む。

「いくつのとき?」

随分、個性的な絵だなっていいながら
彼はページをめくる。

「・・・エリスが、
10歳前後の頃ね。」


この、スケッチブックは


「ああ、9歳離れてるって
言ったっけ?」

「ええ。」


エリスのもの・・・だ。