俺は彼女の背中に自然に手を回していた


「…どうしたの?」


「ちょっとだけ、…」



そう言うと彼女は黙って
俺の背中にそっと優しく手を回した




幼い頃の記憶しかない詩織と再会して
予想以上に大人びて、綺麗になっていて…

だから逃げていたというのも理由の一つ


アイツに「すき」と言われて
揺らがない自分に驚いている


それは今、本当に俺にとって大切な人が見つかったからだと思う


でも今、俺の頭の中はアイツの顔しか浮かばない


だから今日だけ、今だけ詩織のことを想わせてほしい…