バシラスはお茶を一口啜ると口を開いた。

「さっそくだが、作戦会議に移ろう」

そう言ってバシラスは机に地図を広げた。

「今回君たちが担当するのはこの南西地方に出現したドラゴンだ」

とんと指輪で地図を指し示す。地図にはユールニールと書いてあった。

「ユールニールという町の近郊だ。町に生存者はいない」

ひっ、とサラが悲鳴をあげ手で口を押さえた。
「そんな…」

「だが、妙なことがある」

バシラスは少し躊躇い、口を開いた。

「町には破壊された形跡がない。唯一、町の外れにある屋敷が崩壊していた程度だ。そして遺体には何の外傷もない」

「毒でやられたのでは」

リエルの質問にバシラスは首を振った。

「念のため、マジカル・アイで写した映像を医師に見てもらったが、毒殺の可能性もないということだ。医師も首を捻っていた。まるで…」

そこで言葉を切ったバシラスにその場の全員の視線が集まる。

「まるで…そう、魂を抜かれたかのようだと」

室内に沈黙が降りる。



バチッ


それを破ったのは何かが弾けるような音だった。音のした方を見ると、

「おいっ」

「クラウン、どうした!」

「クラウンさん!?」

「!」


電撃を纏うクラウンがいた。