辺りを何度見渡しても真っ暗闇。
視界に映るのは一色。
黒だけだった。
ウチは迷い込んでしまったみたいだ。
この、闇に満ちた暗黒の世界に・・・
まるでこの世界は
今の自分の心の中をそのまま表してるようだった。
ああ、この世界は自分以外に誰も存在しないんだ。
そのことに気づいてしまった途端、
ウチは涙が出てきて、止まらなくなってしまった。
ひとりぼっち、
その言葉は自分の胸を突き刺す。
いっそ、消えてなくなってしまいたい・・・・・


「ひかりー、起きなさーい!」
お母さんの声でウチは目を覚ました。
身体が汗で濡れていて、顔には涙の跡も残ってる。
ウチは、きっと悪夢にうなされていたんだろう。
ひとりぼっちの真っ暗闇なんて、存在するわけないもん、ね・・・

「おはよ・・・」
「あら、おはよう。ひかり、今日から新学期でしょ?」
「うん。」
「新学期早々遅刻しないでね。」
「あー、うん。」
ひかりは適当に返事をして、朝ごはんを食べる。
朝っぱらからべらべら話しかけてこないでほしい。
眠いんですけど。
そーいえば、クラス替えもあるっけ。
嫌いな先生が担任にならなければいいなー。
そんなことを考えながら、ひかりは学校へ行く支度をする。
「じゃぁ、気をつけていってらっしゃい。」
ひかりはお母さんを無視して、さっさと家を出た。