リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『純愛』・3

あたしは一度目を閉じると、決心して開けた。

そして―彼にキスをした。

「…えっ…」

軽く触れるだけのキス。

それだけで、彼の涙は止まった。

「…ちゃんと進路を決めなさい。そしてその道に進んで、一人前になってから、もう一度あたしのことを考えて。それでもまだ今の気持ちが変わっていなかったら…」

あたしはゆっくりと彼から離れた。

「会いに来て。あたしはずっと、ここにいるから」

彼の手にハンカチを押し付けて、あたしは立ち上がった。

「先生っ!?」

「キミが本当の大人になるの、待ってる」

―その瞬間、あたしは教師としての役目を忘れた。

忘れて、一人の女性になってしまった。