…正直なことを言うと、彼のような生徒が今までいなかったワケじゃない。

でもみんな若かったし、高校を卒業したら、自然と離れていった。

男子校の中での若い女教師。

目立つ存在であるからこそ、今まで教師としてというより、姉のように接してきたのに…。

「でもホラ、教師と生徒って言うのは、ねぇ?」

「オレはあと、半年も経たないうちにこの学校を卒業するから、それも効かない」

ああ、確かに…って、説得されちゃダメだってば!

「でっでも、あなたはまだ、進路決めてないじゃない。ハンパな気持ちじゃ、やっぱり周囲は認めてくれないわよ?」

そう言うと、彼の表情がくもった。

…おや? 妙なところでスイッチを押しちゃったかな?

彼は俯いたかと思うと、しぼり出すように言葉を出した。