リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『純愛』・3

あたしは目を閉じて、彼の唇を感じた。

あの時は涙の味がした。

でも今は、とても甘い…。

「…社会人としてはまだ一年目ですけど、先生を支えられるぐらいは成長したつもりです。先生、返事は?」

「あなたって、ホントにバカね」

彼の手に顔を埋め、あたしは言った。

「…好きよ。一人の男性として、あなたのことが好き」

「その言葉…五年も待ちましたよ」

嬉しそうに微笑んで、彼は額と額を合わせた。

「でももう待ちません。今すぐにでも、結婚してもらいますよ?」

「相変わらず強引なところは変わっていないのね。でもあたし、教師は辞めないからね」

あたしの言葉に、彼の表情がくもった。

「やっぱり…辞めてくれませんか」