リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『純愛』・3

ここまではっきり聞こえるのは…幻聴なんかじゃない。

驚いて顔を上げたあたしの目に映ったのは…立派な男性になった、彼だった。

「どっどうしたの? あっ、久し振りね」

突然のことに、あたしはパニックを起こしていた。

けれど彼は優しく微笑んで、近付いてきた。

「オレ、教師になったんですよ。先生と同じ、数学教師に」

「えっ…そうだったの?」

あれから音沙汰は一切無かった。

手紙も電話もなく、同窓会にも彼は出席しなかった。

だからてっきり、新しい彼女ができたとばかり思っていたのに…。

「それで、今年からこの学校に赴任してきたんです」

「えっ、そうなの?」

「はい、ずいぶんムリしましたけどね」