その後、彼は理数系の大学に進むことを決めた。
大学をちゃんと合格して、高校を卒業した。
卒業式が終わった後、校庭で彼と目が合った。
彼は真面目な顔で礼をして、去って行った。
―あれから5年の月日が流れた。
あたしは今でも同じ高校で教師をしている。
彼が去った後は、至って平凡な日々を送っていた。
だけどふと思い出してしまった。
あたしは彼にだけ、女性としての顔を見せてしまったことを。
それは自覚していなかったけど、あたしは彼のことを…。
夕日の差し込む教室で1人、ため息をつく。
「先生」
あっ、幻聴まで聞こえてきた。よりにもよって彼の声。
「先生、約束、覚えていますか?」
「えっ…?」
大学をちゃんと合格して、高校を卒業した。
卒業式が終わった後、校庭で彼と目が合った。
彼は真面目な顔で礼をして、去って行った。
―あれから5年の月日が流れた。
あたしは今でも同じ高校で教師をしている。
彼が去った後は、至って平凡な日々を送っていた。
だけどふと思い出してしまった。
あたしは彼にだけ、女性としての顔を見せてしまったことを。
それは自覚していなかったけど、あたしは彼のことを…。
夕日の差し込む教室で1人、ため息をつく。
「先生」
あっ、幻聴まで聞こえてきた。よりにもよって彼の声。
「先生、約束、覚えていますか?」
「えっ…?」

