すると、誰かにスカートの裾を引っ張られた。


「まうちゃんっ」


それはまーくんだった。


「ほぁ、ボーウッ。ボーウッ」


まーくんは両手で抱えていたサッカーボールを見せた。


サッカーボールはまーくんの顔より大きかった。


「あぁ、最近勝ったらサッカーのテレビばっかり見てるから、ボールを買ってあげたのよっ。そしたら、他のおもちゃよりも手放さなくなっちゃって」


汚くなってるでしょ?と沙季おばさんは呆れていた。


「白と黒柄を見たらいつも『ボーウッ、ボーウ』って騒ぐのよ」


沙季おばさんが呟いた。