今更言うまでもないけれど、校門を出るまでかなりの注目を浴びた。


そりゃそうだ。
噂の二人が一緒に歩いてるんだから。

しかもっ!



「ごめんね~、俺うっかり傘忘れちゃって!」

「あはは…。」

朝から雨だったというのに、西くんは傘を持って来てなくて。


昇降口の傘立てにあった、誰のかもわからない傘を勝手に使おうとしてるから

仕方なく、相合傘をするハメに。



…百歩譲ってそれはヨシとしよう。

だけどだけど!
いくら何でも、これは近すぎない!?


「ミーコちゃん?どうかした?」

「え!?うっ、ううん!別にっ!」

「そ?」


そんなに背が高いほうじゃない西くん。

でも、チビッ子のあたしと並べば、その身長差は約頭一個分。

その高低差を埋めるべく、必然的に西くんは少し屈む形になるのですぐ側に顔があるのだ。


ただでさえ緊張してるのに、迂闊に横を見れなくなってしまった。


まるでロボットのようにぎこちなく歩くあたしに、西くんは相変わらずご機嫌。


そんな彼に、ずっと疑問に思ってたことを口にする。



「ねぇ、西くん、」

「うん?」

「ど、どこ行くの?」


そう、相合傘よりも何よりも
一番問題なのは今どこへ向かってるのか、だ。