無音無動作での術の高速発動がうりの氷眼の民が唱える呪文。


異様ともいえる光景を理解しているのはベリルだけだったが、黙ってレインの動向を見守った。


幻龍の逆鱗に触れた今、もう自分達になす術はない。


「頼んだぞレイン……」


託した希望はレインに届いた。


「氷帝に告ぐ。わが名はレイン。凍てつく力を欲する者なり。
凍てつく零度の力を借りて、流れる命を縫い止めよ。
時を流れを鼓動を止め、救いの猶予も与えぬべし。
執行人に命ず、汝よ永久に凍えて絶望せよ。
絶対零度の名のもとに―――」


皆の希望を力に変えて。


「封術式・氷血結晶!」


今、解き放つ―――