釈然としない言い方だ。なら、どうしてプレゼントが売っているような店ではなく、普通の食料品を買っていたのだろう。

 そんなあたしの頬を彼は軽くつねった。

「俺を信じてみなよ。生真面目で不器用で、自分の気持ちを素直に出すこともできない。あいつはそんなやつなんだ」

「でも、あなたといるときは楽しそうに笑っていた。功と一緒のときは笑顔も見せないのに」

 彼は少しだけあきれたように笑う。

「それは俺は気を遣わなくていい相手だからだよ。だいたい好き嫌いが激しいあいつが、好きでもない男と登下校を一緒にするわけがない」

 だが、あたしには彼の言葉を素直に受け入れることができなかった。

 だってあたしは美枝のことを功が好きになってからしか知らないのだ。

「明日の六時に待ち合わせしよう。俺の家か、あんたの家のどっちかで。教えてくれれば迎えに行くよ」

 朝方の六時というとまだ太陽の昇っていない暗い時間だった。一人で歩くことにも、知らない人に家を教えるのにも抵抗があった。

「ここに来ます。でも、どうしてですか?」

「説明するより実際見たほうが早いよ。これ以上余計なことを勘繰られなくて済む」

 不思議と、彼があたしを陥れようとしているとは思わなかった。
 あたしは彼の提案を受け入れ、翌朝彼と待ち合わせることになった。