「顔に書いてあるよ」

 彼はついてこいというと、店と店の間にある隙間に消えていこうとした。

「ちょっと待って」

 呼び留める声に足を止めることなく、彼は歩き続けた。迷った結果、彼の後を追うことに決めた。

 彼の足が止まったのはその店と同じ軒下にある扉の前だった。古い建物だったが、細部に手入れがされているのか古いという印象はない。彼がノブを回すと、扉が開く。