あたしの家の前に到着すると、彼の自転車とあたしの足がほぼ同時に止まる。

「冷めないうちに食べろよ」

 そんな功の言葉に笑顔を浮かべる。

 彼の優しさが身にしみて、うれしかったからだ。

「ありがとう」

 すると、功も目を細めていた。

「柚月は笑っているのが一番いいよ」

 そういうと、功はあどけない笑顔を浮かべていた。

 その言葉は近所の人が知っている子供にいうように軽い気持ちで投げかけた言葉だったのだろう。

 それでも彼を特別に思っているあたしにはうれしいものだった。

 そして、その気持ちは少しだけ分かる気がする。

 あたしも功が笑っていてくれたら嬉しいと思う。

 だから、あたしも自分にできることをしようと心に決めた。