SAYONARA

 彼女は美枝と彼が一緒だったことを気にしているのだ。唇をきゅっと噛む。

「あの、いいですか?」

「え?」

 彼は眉をひそめ、あたしと由紀子を交互に見る。

 彼女はあのことを彼に問い詰める気なんだということに気づいた。

「由紀子、その話は」

 あたしの声に重なるように、彼女の言葉が静かな店内に響く。

 店内は客が聞き耳を立てているのではないかと勘ぐってしまうほど静かだった。

 由紀子は彼をきっと見据える。

「美枝とはどういう関係なんですか?」

「幼馴染だけど」

「彼女なんですか?」