SAYONARA

 ぱっと見ただけでは分からなかったが、軽い人かもしれない。

 だが、言葉の節々に優しさがにじみ出ている。

 彼女が彼と親しく話す理由もなんとなくだが気づいてしまった。

「あいつ、学校ではどう?」

 あたしは救いを求め、由紀子を見た。

 彼女は不機嫌そうにその男を睨んでいた。

 だが、あたしと目が合うと目を逸らし、まだ飲み物の届いていない手元を見つめる。

「普通だと思いますよ」

 そう歯切れの悪い言葉を紡いだ。