また走る気?



走ったら発作を引き起こすかもしれないって事、知ってるはずなのに。



……何も分かってない。


岡本さんは、自分の体の事、命の事。




自分を大事にしなさすぎる。



何で危ない事ばかりするんだ…!



走りだそうとした岡本さんを、さっきよりも強く掴む。



僕に掴まれた事でビクッと体を強張らせながら振り向いた岡本さん。



「あれだけ走るなって言っただろ!?死にたいのか!!?」



気付けばキツい口調で怒鳴るように言葉を発していた。




ハッとすぐに我に返れば目を開いたまま僕を見ている岡本さん。



「……た、か、はし……?」




放心状態で、僕の名前を呟いた岡本さん。



その向こうには、ボタンを押して待ってくれていたエレベーター内の人々。




つい、感情的に怒鳴ってしまった。



エレベーターの中からこっちを見ていた人も、岡本さんと同じように驚いた顔をしていた。



走りだそうとした岡本さんを、背後から掴んでいきなり怒鳴ったから。