「あ、ぐぁぁ痛ぐがぁぁ!?」
男子は床を血に染めながら、悶え蠢く。
その様は昔スコップでぶった切ったミミズを思い起こさせる。
あの時も陽一達は仲の良いグループだけでそんなイタズラをして眺めていた。
あの頃はまだ『命』の価値が理解できてなかった。
無意味に無駄に『命』を傷つけて、本当に何が楽しかったのだろう。
あぁ。そういえば。一人だけミミズを見て笑ってない奴がいたな。
記憶に焦点を定めて目を凝らす。
光二だ。冷めた目でつまらなそうにミミズを、それに陽一達を見下ろしていた。
今、悶える男子を見下ろす光二の視線はそれに酷似している。
「どうした陽一。撃たないのか?」
「……」
陽一は何も言わずただひたすらに銃口を光二に向け続ける。



