光二は振り向いてそう吐き捨て、男子の顔面を殴りつける。
男子はまるで車にひかれたみたいに吹っ飛び薄闇の床に倒れ伏した。
僅かな呻き声がダメージの大きさを物語る。
「さて、ゴミは退治した。……おっと、そこの女子ちょっといい?」
さっき襲われていた女生徒を小さく手招く。
「…あぁ、吉井さんか。ごめんごめん暗くてわかんなかったよ」
「あ、うぅん。いいの」
吉井さん?
陽一は疑問符を浮かべながら吉井さんと呼ばれた女生徒の顔を覗きこんだ。
そこでやっと合点がいく。
あぁ。吉井さんって委員長の事か。
日頃は委員長としか呼ばないし呼ばれていないのでわからなかった。
「あの一ノ瀬君も御黒井君も、助けてくれてありがとう」
吉井は薄く笑む。
「別に、僕は何もしてないよ」



