陽一は引き金に指を伸ばす。
外さぬようにしっかりと銃口を男子の額に目掛けて。
「わ、悪かったよ!!俺が悪かったからさ!!落ち着けって!!」
「お前、うるさいよ」
陽一は指先に力を込めて引き金を引こうとした。
しかし、意志とは別に無意識の内に体は止まっていた。
別に慈悲の精神と理性が止めに入った訳ではない。
「……なんだよ、光二」
「なんだよ。じゃねーよ」
銃身に手を置き光二が陽一と男子の間にわりこんだ。
「邪魔すんな」
「落ち着け、陽一。このゴミ野郎にその銃は撃つ必要ねぇよ」
陽一は睨むように光二を見つめる。
数時間前のあの惨劇の事が幾度もフラッシュバックするのだ。
「御黒井、助かったぜ。けどよ今のはいただけねえな?」
「あん?」
「誰がゴミ野郎だ。この野郎」
「てめぇしかいないだろカスが」



