陽一は周囲を見渡してみた。
薄闇の中、皆一様に固まって意見を交換し合っている。
ただチェシャ猫が現れてから既に一時間は経とうとしてる。
それでもまだ答えは誰も出し切れていなかった。
「本当だったらね、みんなで修学旅行に行ってるはずだったのにね」
遥はどこか悲しそうな目をしていた。
「行きたかったな。修学旅行」
「皆、一緒だ」
遥の顔が陽一に向く。
「陽一も行きたかった?」
「当たり前だろ」
「よかった。私もだよ。私も皆、てか陽一と一緒に行きたかったよ」
視線が交差する。
それの意味と真意を模索する。
「そんな怪訝な顔しないでよね」
「いや、するだろ普通」
陽一はなんだか気恥ずかしくなって遥から目をそらした。



