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【『犯人』の色の頭文字はアルファベットの六文字目】
陽一は薄闇を前に反芻(はんすう)したそれは、どこか曖昧を含んでいた。
「どちらとも取れるよね、このヒント」
ソファの上、膝を抱くように座る遥。
スカートの中身が見えそうで見えないのがどうにももどかしい。
「で、陽一はどう思うの?」
「ん?アルファベットの六文字目なら『F』な訳だろ」
「『F』から始まる色ねぇ」
記憶の中から答えは発掘出来ない。
「あるのかな?『F』から始まる色なんて」
「あるからヒントとして出したんだろ」
「そっかぁ」
遥はどこか残念そうに俯く。
正直、陽一にはそれ以上の考えは思い浮かばなかった。



