『そんなみんなに朗報だよ。優しい優しいチェシャ猫さんがみんなにヒントを上げようと思うんだ』


「……ヒント」


陽一は小さく呟く。


瞬間的にまだ覚めきらない頭が一気に活動を始める。


ヒントならいくつあってもいいものだ。


願うのは、自分の推論通りのヒント。つまりはマネキンであればいい。


『うんうんいいね。みんなの表情が心なしか明るくなった気がするよ』


チェシャ猫は相変わらず粘着質な笑みを浮かべたまま視線だけで周囲を見渡す。


『じゃあ二番目のヒントを言うよ。ちゃんと聞いててね♪
二番目のヒントは犯人の色に関するものだよ。
【犯人の色の頭文字はアルファベットの六文字目】』


周囲にざわめきが起きた。


見れば皆、誰しも口々にヒントの意味を唱えあっている。