視線を画面に映すと薄闇の中から見慣れた不細工な猫が現れた。


優勝。その表現は一体なんだ?


『仲間を騙し、友人を見捨てて掴んだ優勝。その味はどんなものなんだい?』


ゲラゲラとチェシャ猫は笑い声を上げる。


「何が面白いのぉ?」


体をソファから引き離し、立ち上がる。


チェシャ猫を睨め上げながら画面中央まで移動する。


ピチャリと、水溜まりを踏んだ感触があった。


見れば、水溜まりにチェシャ猫が映り込んでいた。


多分、場所から察するに光二か、または光二と争った四人の血。


私の生の踏み台になった血だ。


『フフ♪気に障ったのなら謝るよ』


「いいよん、別に謝らなくてもねぇ」


そんな言葉など、誰も望んでなどいないのだから。