「それは元がにやけ面だからじゃないかなぁ」


「ごま、かすなよ…っ!」


「ごまかしてなんか。……ねぇ陽一」


望美の吐息が陽一の肌をくすぐる。


吐息だけじゃない。暖かい手。それが再び陽一の頬を撫でる。


まるで母が子をあやすような、慈愛と優しさに溢れていた。


あぁ。


強引に昔を脳が、体が思い出させる。


昔はよく望美に撫でられたりしたものだ。


このバカ、弟が欲しい弟が欲しいと良く言っていて。


で、何故か最終的に『僕が弟』とと言う設定になって落ち着いた。


まぁ当時は僕の身長の方が低かったし仕方ないだろう。


そんな思い出を垂れ流す陽一に、望美は続ける。


「陽一は私といて、楽しかった?」