皆一様に勇気とも言えない蛮勇を賛美にすり替えて諸手を上げて賞賛する。
止める人間は誰一人としていない。
『まずは、黄』
覚悟を決めた形相。それにかすれた声。
瞬間、凄まじい破裂音が室内を駆け巡った。
オレンジのライトの下、僅かな硝煙が浮かぶ。
耳を押さえたクラスメート達は皆、やはり藍原に視線を送り続ける。
陽一も同じだ。
思考は止まりただあの黄のマネキンは犯人か、否か。
その答えだけが気になる。
「ねぇ」
声が掛けられた。振り返ると望美の顔がすぐそこにあった。
「どうして藍原君は黄のマネキンをうったんだろぅねぇ~」
「さぁ。僕にはわからない、本人に聞くのが一番だろ」
「やっぱりぃ?」
というかそんな事を聞いて今更どうするつもりなんだ。
陽一の疑問をよそに望美は自分のソファの上でうつ伏せに藍原を眺め続ける。



