けどそれと同時に疑問も浮かぶ。
「なぁ光二。銃に玉は一発だけなんだよな。けど猫は犯人を撃てって言ってる」
光二と視線が交差する。
「あぁ、普通に考えればチャンスは一発だけだと思う」
だよな。そう陽一は小さく呟く。
「失敗した奴は、どうなるんだろうな」
光二は答えない。多分、それが答えなのだろう。
そして、それは皆の視線を集める藍原も意識してるはずだ。
けど藍原は、黄のマネキン、その額に銃口を当てた。
『今から俺が黄のマネキンを撃ち抜く』
藍原のその言葉に、歓喜または勇気を称える声が上がる。
しかしそれは室内の唯一の意志とは程遠い感情。
陽一は薄々感づいていた。
陽一だけじゃない。
きっと声を上げない人間は皆、感づいているのだ。



