「で、終了時間を設けない、ヒントがないってのはわかったけれどもう一つの大きな理由ってなんなの?」
遥はマネキンから光二に視線を移す。
「決まってるだろ。ーー」
光二が何か言おうとしたがそれは誰かの大声によってかき消された。
『こんなもん、サッサと終わらそうぜ!!』
皆、声のする方、マネキンに視線を集める。
声高らかに声を張っているのは【藍原 良樹(あいはら よしき)】。
真面目そうな風貌そのままにクラスの委員長である。
藍原は辺りを見回し、右手を高々と上げた。
一体何をするつもりだ。
陽一は藍原の右手に目をやる。
何か持ってる。
目を凝らし、ジッと右手に焦点を合わせる。
……『銃』。
ライトを反射する黒光りするそれは紛れもなく銃だった。



