チェシャ猫が出てくる?
そんな陽一の疑問を読みとったかのように光二が続ける。
「理由は大きく分けて二つある。一つは単純に説明不足」
「説明不足?」
「ああ。まず終了時間。ゲームと呼ぶのに終了時間を設けないのはおかしい」
あぁ、確かに。陽一も合点がいく。
「それに今のままじゃあまりに俺達に不利過ぎる」
「ん~、不利すぎってのはわたしもど~かん」
「……まぁ確かに突然犯人当てろって言われても意味わかんないけど」
違う違う。
光二は首を横に振る。
「簡単にいえばヒントがないんだよ」
光二が振り向きマネキンを見据える。つられるように陽一達もマネキンを見た。
相も変わらず質素なスポットライトに照らされたマネキン達は曖昧にそっぽを向いていた。



