ご飯にお風呂、勉強、すべてを終わらせ薫がベッドに入ったことを確認した橘は、いつものごとく薫に夜の挨拶をした。

「それでは、身の毛もよだつ程不気味な夢を……」

「だから普通におやすみって言えよ……」

毎度のことなのに、なかなか諦めずに溜息を吐き橘に言う薫に橘は少し考えてから、思い付いたように薫に言った。

「嗚呼、申し訳ありません。……おやすみなさい。お嬢様」

「っ!?」

「そういえば、スエットなどという不躾(ブシツケ)なものでは息が詰まるでしょう……ネグリジェでもご用意させましょうか?」

「と……鳥肌……!!」

薫が一気に震え上がるその様子を見た橘がクスリ、と笑い、さらに言葉を投げ付ける。

「畏まりました。明日はネグリジェをご用意致しますね」

「いや、待て。可笑しいだろう!」