「その演劇はギャグですか……?」

しかし、ドレスの選択は間違っていない。私も主人のように長身気味の方にドレスを着せるのだったら、ふりふりのひらひらしたドレスよりもチャイナドレスのように、スリットの開いたタイトなドレスを着せるでしょう。

「知らん! 話はいたって真面目だったがな! 大体この俺が姫役という時点でギャグだ!! ハルかアキのどっちかがやるべきだろう!?」

薫が膨れっ面で窓の外を見たまま不満を垂れる。

「仕方ないでしょう。全ては居眠りしてた貴方のせいです」

「だったら起こせば良いのに!」

「誰も女役なんてやりたがらないでしょう。私でしたら、くじ引きで決まってしまったと嘘を吐いて居眠りしてた奴にやらせます」

「……まさか、あいつ!」

橘の言葉を聞いて、窓の外に向いてた視線を勢い良く橘のほうに向けた。

「おや。貴方も被害にあわれた方でしたか。本当に間抜けですねぇ……」