過去、先生には何度もお世話になったことがある。

しょっちゅう熱を出してしまう私に、先生はいつも付きっきりで看病してくれていた。

してもらっておきながら言うのもなんだけど…。

最初の頃は先生も本気で心配してくれていたけど、度々熱を出す私に慣れてしまったのか、症状がひどくないと分かれば看病を放棄してしまう。

とても、面倒なことになるのだ。

病人だというのに、安静にさせてくれない。


これから起こることを予想し、早くもグッタリしかけていると、


「結衣っ!?」


玄関から焦った様子の先生の声が聞こえてきた。


え……もう来たの!?仕事は!?

早すぎる到着に驚いていると、部屋のドアが乱暴に開かれ、スーツ姿の先生が入ってきた。

私より、ゼェハァと息を乱している。


「結衣っ!!大丈夫かっ!?」

「せ、せんせ…」

「熱はっ!?頭はっ!?体はっ!?」

ベッドに寝ている私のそばにかけより、おでこに手を当て、体のあちこちを確認するように一気に聞いてくる。


「だ、大丈夫…だから…」

ある意味、頭がいたい。

ぐわんぐわんと鳴り響く頭を押さえながらかろうじて答えると、先生は私の体を抱き起こし、ぎゅうーっと力強く抱き締めてきた。


「く、くるしい…」

うめくように呟くと、先生は「はぁー…焦った…」と安堵した様子で腕の拘束を解き、またゆっくりとベッドへ寝かせてくれた。