roulette・3

改めて、この謎の翁に目を丸くした。


マジシャンのようなしなやかな手先で、ルーレットを出す。


「では、この赤い玉をあなたに渡します。」


赤い玉?


それって、私が渡されてたやつじゃないの?


「それも、リッキーが持って帰ってきましたよ」



ほんと意味が分からない。


綺麗なシワのない指で摘み、赤い玉を私に差し出すと、


「では、ルーレットを回します。それをこの溝に勢いよく、入れて回して下さい」


なんで?なんで、私が入れて回すの?


「それは、あなたを試す為です」



やっぱり、私の脳内で浮かぶ言葉が全て分かってるみたい。


「分かりました。やってみます…」


ゆっくり回るルーレットを見ながら、私は小さく息を吸った。