roulette・3

そして、私はゆっくりドアを開けた。


外から、入ってくるいくつもの光が私の眉間にシワを作らせていく。


「おはようございます。美佳さん」


どこかで聞いたような声。


目の前に現れた人物が私の瞳に映し出されると、私は一瞬で誰だか理解した。



「おはよう…ございます…」


冷たい空気が、私の息を白くさせて、目の前の人物を通り過ぎていく。



「よく眠れましたか?それとも…」


私のつま先から、頭のてっぺんまでをゆっくり見てから、そう尋ねてきた謎の翁。


「いえ、よく眠れました…」


「そうですか。それは良かった。今日は、あなたを試しに参りました」


にこやかに微笑みながら、謎の翁はスラスラと言葉を発した。


しかし、私には、笑顔と言葉が正反対なような感覚に思えた。


「とりあえず、入って下さい…」


何か、変に気を遣ってしまった。