「私……どうしたのかしら?」 目の前にいる不思議な格好をしたこの人を兄と説明されてもちっともしっくりこないし、 それに目を覚ます前の事を思い出そうとしても何一つ浮かんで来ない。 「記憶喪失だね。 なにもかも忘れているんだ」 マイムと名乗る男の子は愁いを含んだ表情でそう語る。 その表情はすぐに柔らかいものに変わって 「誰も君を急かしはしないよ。 だから ここでゆっくり思い出すといい」