まさか、シモン様……? 見ると変わらずニコニコと微笑んでらっしゃって 「あぁそうでした あれを使いましょう」 思い出したようにスッとお立ちになった。 (今の声……私の聞き間違いかしら……?) シモン様は棚から装飾のついた古めかしい箱をお持ちになり、上に積もっていたほこりをふぅっと吹くと、中から手のひらサイズのガラス球を取り出された。 そしておもむろに床に放り投げる。 派手な音を立てて粉々に砕けるかと思われたガラス球は、床にぶつかると音もなく形を崩し、代わりに 「まぁ……っ!?」