近くにあるという筈のモップルの木も見当たらず。 少し疲れた私は諦めて元来た道を引き返そうとしたのだけれど…… (…………迷った?) 来たときと同じくらいの時間をかけて歩いたのに一向に屋敷が見えない。 それどころか木々がうっそうと茂った、人のあまり利用しそうにない道に迷い込んでしまったようで。 「ギャっーーっギャっ!」 鳥か何かのけたたましい鳴き声とバサバサとした羽音に身が竦む。 (………怖い) 途端に森は姿を変えたようだった。