「風ちゃあ~んっ!」


「真央ちゃん、久しぶりぃ」


人混みの中、私の弟の景と彼女の真央ちゃんの姿が見えた。


「もう始まっちゃうよ?」


「ごめんねぇ。コテ壊れちゃって…ドライヤーだと、髪がうまくカールできなくって」


ミコちゃんのラストライブ。


私が気合い入れてどうするんだって話だけど、


ステージ上の三国くんと目が合いそうだから、かわいくしておきたかったんだ。


「全然問題ないよっ。風ちゃん最近やたらキレイなんだけど…もしかして三国先輩のせいっ?」


真央ちゃんは瞳をキラキラさせながら、私に迫ってくる。


「あはは…どうかなぁ。キレイになってるんならいいけど。三国くんはそういうの何も言わないしぃ。

どういう感じが好きだとかはまだつかめてないんだよね」