パタとノートを閉じ、三国くんは席から立ち上がる。


「…イマイチだな。書き直し」


うっ…うそぉ。書き直しぃ?


「無理だからぁ~…。もうこれが限界」


やっぱり鬼だぁ。


しかもダメ出しさえもされず、三国くんは顔を背けてそのまま自分の席に戻ってしまう。


ひどーい。せっかく書いたのになぁ。…やっぱり、清書したら良かったかなぁ。見栄えも違うよね。


くすん。


がっかりしてもう一回ノートを見直す。


タクミへの想いとは分からないよう、微妙な感じで書いたのにな。


中学の時の恋とかも混ぜたのがマズかったかな~。


ペラリとノートをめくる。


…ん?


「あーっ!!」


しっ…しまった。


思わず大きな声が出てしまう。そして慌てて三国くんの元へ走る。