「字なんかオレのが汚いし。気にすんな。…書けたんだよな?」


そう言うと、三国くんは私のカバンに手をかける。


やだっ!ちょっとぉ!?


「きゃあーっ、やめて」


「あのなぁ…へんな声出すなよ。オマエの声通るからさ…あ、これか」


三国くんは、片手で私を押しのけると、もう片方の手で器用にカバンを開け、中からノートを引っ張り出した。


ひっ…ひどいよ。


ノートもそうだけど、他にも色々入れてるからカバンの中見られたくなかったのに。


三国くんは、片手でパラパラとノートをめくる。


「あぁ…これか」


昨日私が寝ぼけながら書いていたページを開いて、三国くんは考える仕草。


「うわっ。字が…、この落書きはぁ…」


必死で弁解するも、全く聞いてない様子。


三国くんはしばらくノートを見つめている。


そしてノートをめくり、ふと視線を止める。


一瞬、表情が変わった気がした。


何読んでるんだろ。私、次のページに何か書いたっけ?


え…と。