中学の時のタクミはよく知らない。


ファンの子たちや、景の彼女の真央ちゃんがどう言おうと…今、目の前にいる彼だけを信じたい。


「何ならこれから毎日こーやって、ここに来よーか?」


タクミは私の頬を手のひらで触る。


うぅ…ドキドキしてきた。私、何やってんだろ。


案の定、クラスからヤジが飛んでくる。


「こら~、タクミ何手ぇ出してんだよっ。うちの風に触ってんじゃねーよ」


「はは、風ちゃんファンが怒ってらぁ。んじゃ、オレは退散しまっす」


タクミはそう言い残し、教室を離れる。


やだな…。


まだドキドキしてる。


その足で三国くんの所に行く気にはならず、目線を落としたまま自分の席へ。


歌詞は…


放課後渡そう。









「書いた?」


「…へっ?」


下を向いたまま座っていると、私の席の前に誰かが立つのが分かった。


顔を上げると、声から想像していた通り…。


うちの親分だった。