「良かった?」


一通りの演奏を終えると、三国くんは私をチラッと見る。


「うんっ…サイコー。三国くんやっぱ凄いよ。感動した」


今の曲を私の為だけに弾いてくれたんだとしたら、かなり贅沢な贈り物だよ。


「サイコー…か。まだまだだけどなぁ」


そう言って、三国くんはやんわり笑う。


最近…以前よりよく三国くんの笑顔が見えるようになった気がするんだ。


仏頂面かと思えば、こんなイイ顔をする。


そういう顔がいいねって言おうとしたら、三国くんが先に口を開いた。


「…やっぱり、悪くないな」


「へぇ?何が?」


「いや、別に。気にすんな」


気にすんなって?。…気になるんだけど。




なぜか今日は落とされず、三国くんはその後も、ギターがないのにしばらくの間楽しそうだった。




前に、今の姿は仮の姿…


って言ってた三国くん。





本当の三国くんは


…どこにあるの?






その後タクミや豆蔵さんと合流し、いつもの練習風景に戻った。








家に帰ってからもなぜか


今日の三国くんの横顔が


…頭から離れないでいた。