横から見る三国くんの表情は何だか少し優しい顔で、意外だった。


ギターを弾く時とも、バンドの練習の時とも違う…。


切ないメロディーにのせ、三国くんの動く指や表情が私の胸に刻まれる。


な…何だろ、この感じ。


ドキドキ?キュンッ?


違う…。





胸の奥から湧き上がるような、苦しい感じ。


胸が…痛いよ。






三国くんは思わせぶりだ。


グラウンドでの練習の時も、たまにドキリとさせられたけど、後で必ず落とされる。


きっとこの後も、音楽聴く耳ないのに聴かせてごめんな、とかってシレッと言うんだ。


もし…


三国くんが今みたいにずっと優しくて、


タクミを好きになる、なんて言わなかったら。





私は三国くんを


好きになってたのかな…。