「な…なんでぇ?一人じゃ歌わないってば」


練習ないのは残念だったけど、私もう帰ろうとしてたし…。


「それだけ、風ちゃんを…認めてるって事じゃねーかな。あの子本当に歌うの好きだからって、言ってたぜ」


そうなんだ。三国くん、私にはそんなの一言も。


いつも、そのポッコリでた腹からもっと声だせよ、とかってバカにするのに。


「じゃ、仲直り」


タクミはニッと笑って、私に手を差し出す。


ドキドキまた心臓が跳ねる。


「…うん」


私が出した手に、タクミがそっと手を重ねる。


思ったよりゴツッとした感触に、ドキリとした。


「…オレ、風ちゃん好きだよ」