うわっ、タクミ!


振り向いたタクミは、私を見て少しも動揺する事なく…


いつものあの懐かしい笑顔で笑ってた。


「風ちゃん、こっちこっち」


と言い、今までの事を綺麗さっぱり洗い流したような表情だった。


もう…忘れたのかな。私に話しかけないでって言った事。


まぁ、忘れてくれていいけど。


さすがに酷い事言っちゃったと、あれから何度考えたか。


ミコちゃんの言葉を思い出す。


嫌い嫌いじゃ、何も生まれないって。


少し怖いけど、タクミにそっと近付いた。


「…久しぶり」


とりあえず出た言葉はそれ。


「そだな。…風ちゃん、ここ座んな」


タクミは私を見て苦笑して、自分の座る階段の一段目、彼の隣を指差す。