後ろ姿を睨みつつ、足音はしっかり消して歩く。


報告はしろって思う。でも景と喋りたくはない。…勝手なんだけど。


「風…」


びくうっ。


後ろを逃げきったかと思うと、部屋に入る寸前で…久々聞いた景の声がした。


この子が私の名前呼ぶのなんて…どれだけぶり?


無視してそのまま部屋に入ろーとすると、景が私の前まで回りこんでくる。


…うっわ。


久々間近で見る景は、以前より背が高くなっている気がした。


目が合うのが嫌で、思わず顔ごと逸らす。


「…悪い」


…え。


意外な言葉に耳を疑った。