VOICE【短編集】



「ごめんごめんもう一回最初からね」

笑顔で再びその口から声を紡ぎ出す海斗。再び俺の胸に突き刺さるその声。

指が、震えた。

腕が、膝が、身体が震えた。





弾きたい。

弾きたい、弾きたい!

この声の為に、ギターを弾きたい!

不意に3ヶ月前の悔しくて苦しくてやりきれなかった思いが込み上げてきた。

視界が滲むのがわかって、思わず顔を伏せて地面を睨んだ。

こんなとこで泣くなよ!

心の中、自分を怒鳴りつける。





気が付けば曲は終わってて、みんな拍手。

「聴いてくれてありがとう!来週からは新メンバー加入だから!」

バカの能天気な声。

と思ったらグイッと腕を引っ張られて輪の中心にいた。

海斗が俺の顔をチラリと見て、満開の笑顔で言った。

「ギター担当の紅志!よろしくねー!!」