VOICE【短編集】



そう。雨が嫌いだ。
雨の日に、あの人が此処から出て行ったから。


いつも通りの綺麗な笑顔で、いつも通りの男勝りな態度で。


じゃあね、英貴。


それだけ言って。


あの日からもうどれだけの時間が過ぎたのか、数えるのもいやになるくらいの雨の日を一人で過ごして。


「雨が降るとさ、苦しくなるんだよね。昔……大切な人を失った日と同じ天気だから」


その人が君と同じ顔してるんだ。


そう呟くように告げたら。


『それ昨日聞いたし』


あっさりした答えが返ってきて、肩すかしを喰らった。


「は?え?えぇ?それって、どれ?!」


『だから、テメエの昔の女が俺に瓜二つだって話』


「マ、マジで?」


『マジで。7回は繰り返してたぜ』


「……う、わ。恥ずかし……」


『あんたが恥ずかしいのなんて今に始まったことじゃないじゃん』


冷たい答えが返ってきて、がくりと肩を落としてしまう。
自分はどれだけ情けないんだろうかと、自嘲した。